小学校低学年からの算数の流れをおさらいします。
4年生になる前までに小学校の先取り終了させました。簡単なドリルくらいのレベルで、難問には手を出していません。
4年生からは受験算数の基礎をしっかり訓練しました。声かけ学習で確実な理解を重視しました。
参考:受験算数の基礎を学ぶ
5年生から受験算数の難関向けの学習を始めました。月刊誌「中学への算数」の日々の演習のコーナーを、じっくり時間をかけて考えさせました。なかなか結果が出ませんでしたが、約半年後に急に算数に開眼し解けるようになりました。
今回はその後から6年生の受験直前期までの算数の対策についてお話しします。
インデックス
日々の演習
6年になっても変わらず日々の演習は続けました。これは平日に1日1問解いていく問題で、1問10分くらいで終わるため、ちょうど良いペースメーカーになりました。これは受験直前まで続けました。
ほとんど解けなかった問題はなかったと記憶しています。それどころか6年生の後半には、ほとんどの問題をメモなしでできるようになりました。何も書かず、頭の中だけで答えを出すということです。(どうしてその取り組みをするようになったかは後述します。)
当時、息子のできることは私もすべてできると思っていましたが、この芸当だけはちょっと真似できませんでした。考え抜く学習法の成果が出たのだと思います。若く発達している最中の脳を使って考えまくると、ここまでできるものかと感心しました。思考中心学習の思わぬ副産物です。息子ながらちょっと嫉妬した覚えがあります。
学力コンテスト(学コン)
学コンとは
中学への算数には学力コンテストのコーナーがあります。受験ではまず出されないような激ムズの問題が毎月4問出題されます。それらの解答を応募すると、添削され席次がついて、解答とともに返却されてきます。
学コンは、日々の演習が解けるようになった5年生の後半から取り組み始めました。こちらの方はレベルが段違いなので、やはり手こずりました。書く解答の分量も多く、場合分けをして整理しないといけなかったりで、思った以上に骨の折れる問題ばかりです。私も解くのに苦労しました。私が解いた問題は、これまでのように声かけしながらじっくり考えさせるとともに、解答の書き方も教えていきました。
ちなみに、学コンは学校や塾の先生に相談しないように、という但し書きがあります。だから、私が教えるのは提出期限が過ぎたものだけです。ズルをしても何の得もありませんから。
学コンが主戦場に
6年生になってからは慣れてきたこともあって、学コンに応募できるようになってきました。そして応募をしてすぐに、席次上位で賞品をもらうことができたのでした。これに気を良くしたのか、算数の主戦場は完全にこの学コンになりました。
その後も毎月毎月これに応募しました。成績発表で誌面に名前が載るので、励みになったようでした。だいたい毎月名前が載っていましたし、1等賞を穫ることもできました。
学コンで息子と争っていたような子達は、ざっくり確認できているだけでも灘に5〜6名、開成と筑駒にそれぞれ3名ずつ、栄光学園に2名ほど進学したようです。なぜわかったかというと、後に数学オリンピックに出ていたからです。予選を通過した選手は数学オリンピック協会のHPに名前と学校名が載るんです。そしてそのうちの数名は国際数学オリンピックでメダルを取っています。
そういうすごい子達は、当時はおそらく浜学園やSAPIXに通っていたはずです。つまり塾へ通いながら学コンにも応募していたということです。学コンに専念できた息子は、ある意味ドーピングをしていたようなものかもしれません。でもそういう優秀な子達と争えたことは、現在に至るまで息子にとって自信の裏付けになってくれています。
算数オリンピック
毎年6月頃、算数オリンピックの予選が行われます。息子も4年生のときから参加していました。いつも予選通過ラインには1問足りません。でもこの1問の壁がいかに大きいかは、チャレンジしていたお子さんやそのご家族は良くご存じだと思います。
6年のときは算数の実力もついていたので期待していました。過去問で解ける問題も増えていて、さすがに予選は突破してくれるものと思っていました。本人もそこそこ手応えがあったようでした。ところが、答え合わせをしていて愕然。つまらないミスで2問も落としていました。それではどうにもなりません。残念ながら算数オリンピックで檜舞台に上ることは叶いませんでした。
もっとも仮に予選通過したところで、決勝で善戦するのはちょっと難しかったと思います。あそこで入賞するような子は算数大好きな子がほとんどです。好き≒才能ですから、そこまでの才能に恵まれていない息子には無理でした。でもファイナリストにはなれるかと思っていたので、ちょっとがっかりです。まあ、期待してがっかりするのは親の仕事です。期待することは最後までやめません。
スピード対策
模試で点が取れない
6年生では模試を受けました。算数で稼いでくれると期待していましたが、思うような点が取れません。すぐに理由がわかりました。スピード不足です。模試の算数は簡単な問題から始まってだんだん難しい問題になっていきます。それが最後までたどり着かないのです。しかも、最初に出てくる計算問題の練習をあまりさせていなかったので、そこでも無駄に時間がかかった上にミスもしていました。これには対策が必要です。
そもそも塾に行っていないので、絶対的な勉強量では劣ります。じっくりと考える練習に特化してきたために、簡単な問題を反射的に解く訓練をしていません。難関校を志望していたのであまり出ない計算問題は練習不足でした。そのあたりのテコ入れを夏休み以降に行いました。
スピードアップ算数
調べた結果、栗田哲也氏のスピードアップ算数の評判が良かったので購入しました。基礎編、発展編とあり、両方やりましたが、主に使用したのは後者です。
同じ問題を何度も繰り返すことで、認識スピードをあげることがコンセプトの問題集です。典型パターンや算数の本質が含まれた問題を深く理解した上で、パッと見てパターンや本質を取り出せるかを訓練します。最終的には鉛筆を使わずに頭の中だけで解くことを推奨しています。こちらを練習した結果、日々の演習くらいの普通の思考問題はメモを取らずに頭の中だけで処理して答えを出せるようになりました。
将棋に当てはめると、短手数の詰将棋や手筋をたくさん覚えて理解し、対局に応用するやり方と似ています。
ずっと論理的に考える訓練はしていたので、こちらの認識スピードを上げる訓練をすることで、実践的な力は上がったと思います。栗田哲也氏は5回くらい繰り返してほしいと書いてあったので、それくらいやらせたと思います。
このスピードアップ算数には図形の章もありますが、おなじ栗田哲也氏の「地頭力も合格力も鍛える 最強ドリル 図形」の方が問題数が多かったので、図形についてはこちらの方をメインで使いました。
どこを見ても在庫切れ。絶版なのかもしれませんね。いい本なんですけど…
レベルアップ演習
受験直前の冬休みからは「中学への算数」のレベルアップ演習のコーナーを、時間を決めてどんどん解いていくスピード練習をしました。計算問題もたくさんあるので弱点の克服になりました。
直前期には考える問題は志望校の過去問と日々の演習だけにして、学コンは4問のところを3問で出せるコースの応募にして控え気味にしました。あとは復習総ざらいの意味もこめて、スピード練習を中心に行いました。
最後に
上記の学習によって、算数については完成したと言って良いレベルに達しました。
振り返ってみると、受験勉強の半分、いやそれ以上、おそらく6割くらいは算数に費やしてきたかもしれません。それによって算数は得意科目になりましたし、受験では算数が一番重要だとも思います。
ただ、算数にかけた時間を少し減らしてもそこそこの得意科目はなったでしょう。その分を国語、理科、社会のどれかに振り分けて、もう一科目得意科目を作っておく方が戦略的には正しいとは思います。
しかし、中学進学後も一番役に立ったのは算数です。数学で苦労したことはほとんどありませんでした。そしておそらく、算数で時間をかけて考えたことが他の科目でも活きたことは間違いないところです。それも、最も頭が柔軟であろう10〜12歳で、1番考えることができる科目である算数をじっくりと考えることができたからこそだと信じています。そんな理由から、限られた勉強時間の中でも算数に多くの時間を投じたことは正しかったと思うのです。
だから、塾に通っていなかったり、中学受験をしないお子さんには、算数をじっくりと考える学習を強くオススメします。うちの息子のような、小さい頃にこれといった才気を発揮していなかった凡人が何とかなったのも、算数に取り組んだおかげと言えるからです。
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