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中学受験  ·  2018/08/12

算数を考えに考え抜いた結果こうなった

 4年生の1年間で中学受験算数の基礎を固めました。使った教材は学研の「わかる!できる!応用自在」でした。

 

4年生3学期で到達したレベルは、算数の基礎的な問題なら時間を気にしなければほぼ解ける、というくらいでした。これをブラッシュアップしていく手もありましたが、私としてはやっとやりたいことができる準備が整ったと考えていたので、予定通り次のステップに進むことになりました。

 

やりたかったこと。それはひたすら考え抜くことで地頭の底上げをすることです。自らの中学受験で算数のできなかった私が思考力を身につけて解けるようになったのと同じように、息子も考えることで算数ができるようになるのかを早く試してみたかったのです。

 

結論として試みは成功し、無事に難問まで解けるレベルにたどり着くことができました。今回はそこまでの課程についてお話ししたいと思います。

 

 

インデックス

「中学への算数」を使用

なかなかできるようにならず苦労する

苦労の末、算数に目覚める

誰にでも同じことが起きるのか

考え抜いたことが財産に


「中学への算数」を使用

 

最高位の問題集

使った教材は中学への算数という東京出版が発行している月刊誌です。通称「中数」です。中数を使った理由は2つです。

 

ひとつめの理由はネットで中数が最高難度の問題集だという評判だったからです。一番のものができるようになれば手っ取り早くて、何の問題もないはずです。

 

塾なしでいくことを決めたときに思ったことは、教材をあれこれと試した挙げ句、ひとつも使いこなせなかったという事態を避けようということでした。そうならないために、これと決めたものをやり尽くそうと考えていました。基礎のときに応用自在を選んで、他のことをしなかったのもその方針からでした。

 

解き方の志向が合っていた

もうひとつの理由は解答の作り方が私の好みに合っていたことです。基礎で使った応用自在の方は、線分図・面積図の使用頻度が高かったのに対し、中数ではそれらは必然があるときにしか使いません。エレガントな解答方法で、テクニックにばかり走っていない作り方が気に入っていました。真似したくなることも多く、非常に参考になる問題集だったことが選んだ決め手でした。

 

それらの理由以外にも、4年次には中数のパズルコーナーに参加し投稿していて息子にとって馴染みがあったこともスムーズな教材の移行につながりました。

 

日々の演習が主戦場

中数にはパズルも含めいくつもの記事がありますが、一番の目当ては「日々の演習」というコーナーです。毎月1テーマで標準的な問題を徹底的に演習していくことを目的としています。この「標準的」は東京出版側が言っているだけで、どう見ても標準ではありません。しかし出版社側の言い分では、「日々の演習」は上位1割にあたる有名私立・国立中学を目指す人向けだそうですから、その中では「標準」ということなんでしょう。

 

問題は過去の受験で出題されたものばかりですが、面白いのは中堅以下の中学校が結構な難問を出題していることです。その学校の受験生で解けた子はほとんどいないだろうという問題です。良問を作れば問題集や塾で取り上げられることも増えます。こんな良い問題を作れる先生がいるんだよ、というアピールなのでしょうか。地道でささやかな宣伝活動なのだろうと感じました。

 

なかなかできるようにならず苦労する

 

息子も5年生になり、「日々の演習」(以下「日々演」)に取り組む日常が始まりました。「日々演」には問題に日付がついていて、平日にやるようになっています。基本的には日付を守って考えさせ、できなかった問題は時間があれば平日に、残りは休日に声かけしながら解かせていくことにしました。

 

始めてみると、予想通りというか予想以上に難しかったのか、全然できません。最初の1ヶ月くらいはこんなものだろう、産みの苦しみだと思って様子を見ることにしました。

 

それが2ヶ月、3ヶ月と続くと、だんだん焦りも出てきます。じっくり声かけをしながらやればできます。全然歯が立たないわけではないようでした。中数には「日々演」よりも簡単な「レベルアップ演習」というコーナーもあります。応用自在よりもやや上のレベルです。そちらの方はだいたいできるので、「日々演」がさっぱりできないのは不思議です。

 

「日々演」にもA〜Cまでランクがあって、A問題はレベルアップ演習と比べてもさほど変わらない難易度なので、実際にはできているものもあったはずです。でもそんな記憶も全くないくらいにできませんでした。

 

あまりにもできないので、解説の必要な問題も溜まっていきました。結局1学期の間にはできるようになりません。溜まった問題の解消は夏休みいっぱいかかりました。

 

助かったのは、息子は別段文句も言わずに日々問題に取り組んでいたことです。必ず日付通りにできたわけではありませんが、多少遅れてもきちんと考えていました。ここで嫌がられると困ります。息子の生真面目さが有難かったのと同時に、何とかしてやらないといけないと思っていました。

 

こうまで成果が上がらないと、そろそろ違う方法も考えないといけないのではないかと思いつつ2学期を迎えました。

 

苦労の末、算数に目覚める

 

覚醒

それは突然やってきました。9月の立体図形(現在とはやや異なっています。)の問題を解いていたときのことです。そこそこ難しい問題に正解できました。素直に息子を誉めて喜びつつも運が良かったくらいに思っていたら、次の日以降もどんどんと正解を出していきました。その後は整数、規則性、場合の数と数の分野が続きましたが、どれに当たってもほとんど解けるような状態へと変貌を遂げていたのです。

 

念のため、前年度の中数の文章題や平面図形も解かせてみましたが、やはりできるようになっています。先月まで歯が立たなかったのが嘘のように、逆にできない問題の方が少なくなっていました。どうやらこれは本物だ。そう確信する以外にありません。

 

考えていれば実力はつく

いったい何が起こっていたのでしょう。私なりに考えてみました。思えば、解けなかった問題を声かけ学習法で解き直すとき、個別の事案には答えられていました。理解はそこそこ進んでいた証拠です。でもそれを頭に取っておきながら次の事案とつなげたり、全体を見回す力がまだ育っている途中だったと考えられます。いわゆるワーキングメモリの容量が増えている課程だったのです。その容量が少しずつ増えていき、ある一定のラインを越えたことで、一気に問題を解けるようになったということだと思います。

 

苦労はしましたが、たとえ問題が解けなくても、考えている間に実力が付く、というのは真実だということがわかりました。宮本哲也氏の「強育論」を読んだときに感じた直感はやはり正しかったのです。この本に出会えたことは幸運でした。

 

誰にでも同じことが起こるのか

 

このじっくり考えさせる勉強法は、誰がやっても同じように算数ができるようになるのかが気になるところだと思います。

 

結論から申し上げれば、かなりの高確率で誰にでも訪れる成功体験だと信じています。ただし、それを許さないものがあるとしたら周囲の状況や環境ではないでしょうか。

 

子供のレベルの把握が必要

我が家では塾に通わせていないから、好きなようにカリキュラムを組んで計画を練ってきました。小3までで学校レベル、小4で受験基礎レベルを終わらせていたからこそ、小5でこの挑戦が可能になりました。そうしないと、まだ〜を習っていないとか面倒なことが起きると考えたからです。

 

塾に行っている場合は、何を習って何を習っていないのかを把握していないと、適正な出題ができません。逆に言えば、それをはっきり理解している親御さんであれば、ちょうど良い考えさせる問題を選ぶことができると言えます。

 

オーバーワークになってしまう

しかし塾通いの場合は別の問題があります。塾に通うだけでも時間がかかるのに、宿題も結構な量を出されるところが多いはずです。そんな中で時間を作って考え抜くことができるでしょうか。そう簡単ではないはずです。塾に通う以上は塾を使い倒すことが最善で、あれこれ手を出すとどれも大成しないで終わりかねません。それでも考える学習をさせたいならば、親が上手に管理をして時間をひねり出さないといけません。時間にして1日の目安は30分〜1時間です。場合によっては塾の何かを捨てる覚悟も必要になります。

 

しかも結果がでるまでに、息子のように半年近くかかることに耐えられるかという問題もあります。家では進級テストはありませんが、塾の場合は定期的に組み分けテスト等もあります。そこで急がば回れの精神で我慢できるかどうかというと、ちょっと困難と言わざるを得ません。

 

教えられるか

私は少しでも息子と関わっていたかったから、将来は教えてやるつもりで息子の幼少の頃から算数の問題を見て、解けるところまで持っていっていました。しかも曲がりなりにも中学受験経験者です。普通の親御さんには大変なことかもしれません。

 

でももし、ハードルがこの部分だけでしたら、何とかお力になりたいと思います。このブログが無事大学入学〜現在まで追いついたら、未経験者でも教えられる、またはお子さんが自習できるような教材を作って提供したいと考えています。前回のブログ記事でちょっと実験的に疑似声かけの問題解説を2題ほどしましたが、あれをもっと改良したものを開発する予定ですのでそのときまでお待ちください。今すぐ必要だという人がいたらごめんなさい。

 

考え抜いたことが財産に

 

このときにたくさん考えた経験は、その後の学生生活に良い影響を与えてくれました。一番良かったのは、考えることを苦にしなくなったこと。これは大きいことです。数学のような思考系教科は言うまでもないことですが、社会等記憶系でも、大筋を理解するときに考えておくことで細かい記憶をしやすくなりました。しかも単純暗記においても間違いなく得意になりました。現在学ぶ医学でも大いに役立っていると言ってます。

 

考えることも覚えることも、頭を使うということでは大きな区別はないのかもしれません。覚えるべきは全力で覚え、考えるところでは考え抜く。この基本を抑えていれば、成功は近づいてきます。


今回の勉強法はいかがでしたか。一番お勧めできるのは、中学受験しない方針だったり、中学受験が盛んではない県の方々でしょう。受験しないからといって、受験算数をやらないのは非常にもったいないことです。小学生でこれくらい頭を使える教材は他にありません。1人でも多くの子供が、特に地方から伸びてくれることを期待しています。

 

中学受験が盛んで塾通いしているしておられるなら、まずは塾を大事にしてください。そして余裕があったり、一部を捨てる覚悟があるならば、考える学習も是非組み込んでみてください。効果は保証できます。

 

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tagPlaceholderカテゴリ: 算数, 2018年8月

コメントをお書きください

コメント: 1
  • #1

    unknown (日曜日, 19 4月 2020 22:43)

    >受験しないからといって、受験算数をやらないのは非常にもったいないことです。小学生でこれくらい頭を使える教材は他にありません。

    完全に同意します。
    若い頭脳を甘やかすのはもったいないことです。
    塾の講師は、入試の前半部分(基礎門題)を確実に得点するために、一行問題集を繰り返し解くことを奨励し、わからない問題をいつまでも考えるのは無駄と主張しますが、難問を考え抜くことは、即効性はなくとも、思考力を鍛え上げるのに最適だと思います。

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